中国サイトからASMR動画や音声コンテンツが消える
ビリビリや网易云音乐などのサイトから、ASMRコンテンツが消えてしまいました。”消えたように見える” が正しいですが、それについては後述します。
ASMRとはAutonomous Sensory Meridian Responseの略で、ある音や刺激がトリガーとなって生まれる心地よい、脳がとろけるような感覚のことを指します。日本だと音フェチとほぼ同じ意味で使われることもあります。
ビリビリのASMRカテゴリーも消滅
2017年9月より生活区(ライフエリア)にASMRカテゴリーが新設されたのですが、現在はありません。
このような状況になった原因は、扫黄打非のターゲットになったためです。ただ、ASMR全般が対象というわけではありません。
2018年6月8日に扫黄打非の公式Weiboアカウントで発表された文章がこちらです。
日本語訳
このほど一部のネットユーザーにより通報があった、いくつかのプラットフォーム上に見られる「ASMRを隠れ蓑にした低俗なコンテンツ配信(拡散)の問題」に対処して、6月8日に全国扫黄打非事務所は、网易云音乐、百度网盘、ビリビリ、猫耳FM、蜻蜓FMなど多くのサイト責任者に事情聴取を実施。各プラットフォームに全力をあげて問題のASMRコンテンツを一掃し、関連コンテンツの監視と審査の強化をするよう要求しました。
ここで言うプラットフォームとは、動画や音声を配信するサイトのことです。そもそも扫黄打非って何?という方もいると思うので、少しだけ説明しておきます。
扫黄打非とは
いかがわしいコンテンツ(書籍・ビデオ等)や違法な出版物を撲滅する方策や活動のことです。
扫黄打非事業所により執行され、国家新聞出版広電総局が責任を負い指導しています。国家新聞出版広電総局は、各種メディアの統制や海外作品の検閲をしている機関です。
「扫黄打非を推し進めて、社会環境を浄化しよう」というのがスローガンです。
さきほどのWeiboで公開された文章にはまだ続きがあります。長いので簡単にまとめると
ASMRコンテンツに内在する問題は、净网(WEBサイト浄化)2018特別プロジェクトに組み込んで厳しく処罰していく。
我が国の法律で卑猥なコンテンツと認定されたものについては、法律に則ってプラットフォームの管理責任を追求することが可能である。問題が深刻な場合は刑事犯罪の嫌疑がかかり、その刑事責任を問われる。
政府と企業が協力して、好ましくないコンテンツに対して制裁を加えいく。
とこんな感じです。一部のコンテンツが規制の対象なだけで、中国でASMRが全面禁止ということではありません。
ASMR動画は削除されていません
いわゆる普通のASMR動画は消えていません。最初はネット上から削除されてるのかと思いましたが、”音フェチ” で検索すると見つかります。
ビリビリ動画
ASMRで検索した場合は、「什么都没找到啊(何も見つからなかったよ)」と表示されます。
音フェチをキーワードにすると、画像のようにたくさんヒットします。
動画のタイトルには”ASMR”と入っているので、意図的に探せないようにしているのは明らかです。
Youku(优酷)
こちらもASMRで検索すると、「抱歉,没有找到’ASMR’的相关视频(申し訳ございません ASMRに関連する動画は見つかりませんでした)」とメッセージが表示されるだけです。
音フェチで検索すると、ビリビリと同様にASMR動画が検索結果に出てきます。
検索ではなく、直接ASMRのある場所へ行くのも一つの方法です。例えば、ビリビリだと [生活区]⇒[其他(その他)] でASMR動画が視聴できます。热门(人気の動画)の欄にも表示されています。
まとめ
低俗なコンテンツが規制の対象であって、普通のASMR動画や音声コンテンツは消えていません。お気に入りのUP主の動画が見れない場合は、何らかの理由で審査の対象になっている可能性があります。
ASMRをキーワードに探せないのは、一時的な処置だと思います。きちんとしたチェック体制が整ったら、元の状態に戻るはずです。それまでは音フェチで検索してください。